ダブルケアデイズ

子育ての最中に、介護がやってきた!ひた走る日々。

ダブルケア 仕事を続けるための介護体制のつくりかた

育児(就学前)、子育て(学齢期以降)、家事、仕事で精一杯の日々の中で、介護もこなす必要が出てきたら、当初は、気持ちも生活状況もパニックになってしまうのも無理はありません。

しかし、この混乱の中で、早々に仕事を辞めてしまうのは少し待ちましょう。もちろん、これを機に、働き方を変えるということは、むしろよい結果を生む場合もあるかもしれません。

とにかく、多少減額になっても収入源をキープするということ、介護者も要介護者も社会とつながっておくということが大切です。

 

 

主たる介護者とキーパーソンを決め、ほかに介護に関わる人(親族など)が何人いるのかを確かめる

まず、介護に関われる人が何人いるのかを確かめましょう。それによって、仕事との関わりもずいぶん変わります。

たとえば、海外赴任をしている兄弟に週末ごとに帰ってきてもらうことは、現実的ではありません。しかし、自分で時間を決めて働くスタイルのお仕事なら、気持ちと事情が許せば工夫ができそうです。

ダブルケアの場合は、それぞれの家庭の子どもの事情も考える必要があります。まだ乳飲み子で授乳があり、夜あまり眠れないという人には、気の抜けないつきっきりの介護はやはり難しいでしょう。このように、事情や気持ちを出し合って、介護に関われる人が何人いるのかを数えてみます。

すると、主たる介護者がだれになるのかが、おのずと決まってきます。さらに、療養介護をするにあたって、いろいろな手続きや交渉、判断をしていくキーパーソンを決めます。

たとえば、我が家の場合なら、義母や義祖母の主たる介護者は私、キーパーソンは直接の親族である夫と決めました。

これは、療養介護において大切なことなのです。ケアマネジャーとの話し合いにしても、親族の言うことがばらばらだと、施設一つ決めることができません。もっと緊急の、入院の際の保証人や、手術、治療法などの決定においても、代表して最終決定をする人として、キーパーソンがいなければ、判断が遅れる場合もあります。

キーパーソンは、主たる介護者か、主たる介護者とよく意思疎通ができ、気持ちの近い人がよいでしょう。要介護者にとって適切な選択や対応を話し合いやすいからです。

そして、さらに、だれがどれくらい介護に関われるのを確認しましょう。

 

仕事を続けるために必要な時間を出す

一口に仕事といっても、職種、仕事の形態、職場の事情や雰囲気など、いろいろな要素があり、介護のためにどれくらい時間が取れるのかということは、人それぞれです。

介護休暇が制度としても、会社のあり方としても充実している場合もあれば、人手不足で言い出しにくいという場合もあるでしょう。また、必ず出勤すべき時刻が決まっている場合もあれば、フレックスタイム制で、ある程度時間の融通がきくということもあるでしょう。

たとえば、朝7時に出勤し、19時に帰宅する介護者がいるとします。この時間は、介護ができません。しかし、ほかの介護者が、16時以降なら介護に関われるとすると、問題は、朝7時から16時のあいだとなります。

このように、介護者がだれも関われない時間がどれくらいあるのかを洗い出してみるのです。

すると、どのような介護サービスが必要なのかが見えてきます。

 

施設入居か在宅介護かを選ぶ

 1.施設入居の場合、費用負担ができるどうかを確認する

だれも、在宅介護をできる人がいないとなると、入居を考えるしかありませんし、要介護者ご本人が希望されることもあると思います。

ただ、施設にもいろいろあり、費用負担をいとわなければ、ぜいたくなところもあります。しかし、入院加療が常時必要となったら、退所しなければならない施設もあるので、選択するときには、大きく体調を崩したときや、看取りについての施設側の規定や対応を十分に確認する必要があります。

要介護者の心身の状態に合うのかどうかをよく確認したうえで、費用がどれくらいいるのか、入所までどれくらいの期間が必要なのかを確認します。特別養護老人ホームなどは、公的な性格をもつ施設なので、比較的費用も低く、看取りまで対応してくれますが、何百人も空き待ちの順番を待たなくてはならないということもあります。

一方、入居しやすいところを選ぶと、何千、何百万円の入居金や、月に20万円から50万円ほどの費用が必要だったりします。このようなところに入居すれば、だれかに介護負担が大きく偏ることはありませんが、要介護者本人にかなりの資産がない限り、介護者が費用負担をすることは避けられません。その費用を捻出するために働くということもありうることです。

それに、入居したからといっても、やはり、会いにいったり、様子を見たりきいたりすることも大事です。ときには、食事の時間に、毎日のように手伝いにいくという人もあるそうです。

いずれにしても、介護者家族はなんらかの形で関わることになります。

介護保険が使える入居施設として候補にあがるのは、主に、以下のとおりです。

特別養護老人ホーム

介護付き有料老人ホーム

グループホーム

介護老人保健施設(ただし、介護老人保健施設は、帰宅を目指したリハビリをすることが目的ですので、基本的に3ヶ月間をめどに退所が見当されます。)

 

2.在宅介護の費用をケアマネジャーに試算してもらう

要介護者本人や親族に、在宅介護をする希望があり、可能なときは在宅介護のプランを具体化していきます。施設入居を希望しても、空き待ちになったり、介護や費用の条件が合わなかったりする場合は、一時的にせよ、在宅介護を選択するほかないということもあります。

だれも介護に関われない時間をどのようにカバーするのか、それは、介護保険適用の範囲で収まるのか、自費部分も出てしまうのかといったことをケアマネジャーと考えます。また、介護者の休息時間をどう確保するのかということも介護プランを考えるときには大切なことです。

在宅介護の場合の介護プランの要素は、主に、

以下のとおりです。

訪問介護サービス

デイサービス

デイケアサービス

ショートステイ

訪問入浴

訪問医療看護(歯科も)

小規模多機能型居宅介護の利用

 

働き方の調整ができないかどうか検討してみる

最近は、高齢者社会が現実となってきており、ニュースなどで取りざたされることも増えました。

会社によっては、介護休暇が取れることもありますし、働き方を融通してくれることもあります。育児休暇と一緒で、介護休暇の制度があっても、実際は言い出しにくいということもあるかもしれません。しかし、介護の問題は、単純に、年齢から考えても、上司の方が身に迫っているはずです。

なんとか、働き方についての交渉や話し合いができればと願います。会社としても、介護の問題を避ければ、貴重な社員を失うばかりか、今後は、新入社員も得にくいという事態にもつながりかねません。

交渉ができるかどうかは、今はまだ勤務先によるとは思いますが、育児休暇や育児中の勤務体制とともに、介護についても社会全体で考え、変わっていかなければならないと思います。

介護を機に、転職したり、在宅での事業を立ち上げるという方もあるかもしれません。十分に準備がなされた上での決断であれば、かえって良い結果となるのかもしれません。しかし、そうでない場合は、新しい職場と介護に慣れるまでの混乱が重なり、たいへんなストレスになることも考えられます。

当初は、自分でみてあげたいという思いがたとえ強くても、決して一人や一家族で抱えこまず、社会資源を使って、多くの人の助けを借りましょう。介護者も要介護者も社会とつながり続ける方向で介護体制をつくることは、双方の心身の健康を保つためにとても大切だと思います。そのうえで、生き方や価値観の変化から、働き方も考え直してみるのであれば、とても、いい結果につながるかもしれません。

 

それぞれの介護プランの組み方の例について、次回に書きたいと思います。

 

 

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